嫁がうつになりまして。~うつ病ママとその夫の記録

うつ病および統合失調症の嫁と暮らすアラフォー夫視点の日常の記録

環境次第では、今までできなかったことができるようになったりするものか。

嫁がうつ病になって、もう9年経つ。その時々で回復に向かったり悪化したりと色んな波を乗り越えてきた。まあ未だにうつ病から解放されたわけではないけれど、配偶者たる僕も色々考えさせられ、色々なことをやってきたなあ、と振り返ってそう思う。


嫁が身動きできなくなり、完全療養生活に入って2年が過ぎた。基本的には嫁がその日気の向くままに好きに過ごしてもらうというスタイルだ。まあ厳密には100%そうできているわけではない。我が家には子どももいるし、日中働いている僕にはどうしたって手の届かないことがある。その点については嫁と相談して、嫁にできる範囲で手伝ってもらっている。全く動かないというのも嫁の精神衛生上によろしくないとのことなので、これもまあ嫁にとってプラスになると思い直して手伝ってもらうようにしている。


そうなると、それ以前よりも僕が自分で出張って片付けなくてはならない案件も増えていった。それには、苦痛になることも多々あった。

例えば僕は、人付き合いを好まない。形式的な付き合いというものに価値を置いていないので、放置しておくと人間関係がすぐに切れてしまうという困った特性の持ち主でもある。そんな僕だけれども、嫁が動けない分対人関係でも動かざるを得ない。例えば町内会の話し合いに参加したり、学校に面談や相談をしに行ったり、時には役所に出向いて必要な手続きや問い合わせをしなくてはならなかったりする。別に人と話すのが嫌いなわけではないので、用事さえあればどこへでも行くわけだけれども、やっぱりそれまで日常的にやっていなかったことなので、当初は大変苦痛だった。けれども、他に動ける人間がいないのだから仕方ない。そうやっているうちに、行動半径が広がるという副産物も得た。

また、子どもの日常生活に深く立ち入ることにもなった。ぶっちゃけた話、自分のことと嫁の世話で手一杯で、子どもらの日常生活については片手間程度にしか視ていなかった。しかし学校からああだこうだ言われたりもするので、このままではマズイと思い、子ども、特にまだ小学校低学年である息子については細かく立ち入っていくようになった。嫁ができない分全て僕に負担がかかるので面倒といえば面倒なのだけれど、一度管理体制に入ってしまえばその面倒さも習慣になってくるので、今ではごく当たり前にこなしている。

さらに、家事の担当範囲が拡大した。酷いときには9割がた僕がこなしていたときもあった。今では嫁が調子を戻してきているので、かなり負担は減ったけれど、日常的にこなす範囲が相変わらず広いので、どう時間のやりくりをしたらいいものか毎日大変である。しかしこれも、一つ一つの作業が習慣化されたことにより、思い立った順番でこなしたり、毎日片付けるものから優先しておこなうなど、何とかなるようになってきている。


このように、(お金にはつながらないが)近年家庭の内外において僕が手がける範囲が急速に広がったので、実は結構疲れやすくなっている。が、人間、環境次第ではそれまで「できないだろう」と思っていたことが「できる」ようになってくるということを実感した。これはつまり、嫁が再び不調期に入って何もできなくなったとしても、「何とかなる」という自分の中での安心感を得たということだ。体力的には辛いけれど、これは僕にも嫁にとっても、大きな不安をひとつ解消したことになるのではないかと思われる。

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