嫁がうつになりまして。~うつ病ママとその夫の記録

うつ病および統合失調症の嫁と暮らすアラフォー夫視点の日常の記録

うつ嫁と自殺未遂

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ここ数年は企図しなくなってきたが、嫁はかつて自殺未遂の常連だった。
今回は、嫁の自殺未遂の様子について書いておこうと思う。


うつ病と診断されて、それまでできていたことも上手くいかなくなり、嫁としても自分が「病気である」ということを認識しだしていった。
その頃僕は、仕事復帰の影響で自宅から遠い職場に通っていたこともあり帰宅も遅く、昼間の嫁の様子がイマイチわからないでいた。それにうつ病に関する知識も乏しく、病院に通っていれば何とかなるだろう・・・くらいにしか考えていなかった。まあ知識に関しては、前にも書いたとおり敢えて詳しくならないでいる面もあるので今もたいして知識はないのだが・・・

仕事はうまくいかないし、知り合いともうまくいっていない様子であった。一部の人間とは軋轢も生じていたようだ。その頃からか、ちょっとしたことで「死にたい」と言うようになった。そして、本当に死のうとするようになった。何しろ外的内的要因問わずに感情的な衝動で自殺未遂を起こしていたので、僕が仕事などで不在のときが心配だった。

嫁の自殺未遂は、医者から処方されている睡眠薬などを大量に飲むこと、近所の線路に行って電車に体当たりしようとするという迷惑極まりない行為。ほぼ全てがこのいずれかだったと記憶している。リストカットもやるけれど、あれは「死にたい」というより「スッキリする」のがメインみたいだし、ここではカウントしなくていいかな。

ある時期に、嫁は自殺未遂を集中して企図したことがある。うち2回は、本当に大騒ぎになった。どうやら近所の人間と言い合いになったらしい。うつ病をある程度理解してくれていると思っていた相手から、「死にたい死にたい言うなら、本当に死んでみろ」と言われたのが直接の引き金らしい。なら本当に死んでやると言い、嫁は線路に向かって歩いていったようだ。これは後で聞いた。

その日僕はたまたま仕事から帰ったところ、自宅の前にちょうど警官が訪ねてきたところだった。警官によれば、嫁が近所で保護されているらしいという。警官と共に、嫁が保護されているという現場に向かった。といっても近所で徒歩2分くらいの場所だった。行ってみると、嫁は救急隊に保護されているところだった。他にパトカーも来ていた。本当に大騒ぎだ。僕は警官にも救急隊にもメチャクチャ怒られたのち、嫁を連れて帰った。


そういえば思い出した。
その時の救急隊のおっさんが、ちょっと困ることを嫁に言っていたな。
「みんな辛いんだから、頑張ろう」
多分に善意だろうけど、いやいやだから嫁はうつ病だって言ってんじゃん!と思った。
もちろん、善意の相手に文句は言えなかったが・・・


嫁はしかし幸運だったと思う。
近所に、神とも呼べる人格者がいる。日頃から可能な限り嫁を理解してくれており、困った時は無条件で助けてくれるまさに神のような人だ。その人がその晩は嫁の面倒を見てくれた。というのも、僕には子どもらの世話があって大変だろうからということだった。僕はありがたく好意を受け、その日は何とかやり過ごすことができた。実は嫁には、その神以外にも理解ある隣人や知り合いが何人もいる。彼らがいなかったら、僕まで精神崩壊していたかもしれない。


それから年を経るごとに、どういうわけか嫁の自殺未遂はピタリと止んだ。やっぱり嫁は幸運らしく、近所や友人それに出入りしているお店など理解のある人間に恵まれている。ちょっと行き違いがあっても、大抵の場合話し合えばだいたい一定の理解を得てもらえているという、非常に恵まれた環境にいると思われる。

今でも嫁の自殺未遂が止んだ理由は、よくわからない。
「生きたい」とは言わないが、「死にたい」とも言わなくなったように思える。

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